「ここで挙式を挙げた二人は幸せになれるみたいです。その、レストさんがもしも俺を選んでくれるのなら……」
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レストさんは自分が本当は死んでいると知ったらしい。この世界は誰かの創造でできている。だからこそ死んでもなお生きていられた。もしもその誰かが創造をやめてしまえば全てが現実に戻る。
「どうして、なにも教えてくれなかったんですか……」
いつもは勝手に動いて私の感情を揺さぶるのに今はなにも答えない。冷たい体をぎゅっと引き寄せた。 恨まれてでも私のなかに自分を傷痕のように深く刻みたかった。二度死ぬことよりも私に忘れられることが恐ろしかった。
『人は死んだとしても記憶のなかにあり続け、誰かが意志を繋く限り生き続ける。忘れられてしまうことが本当の死だ』
昔、そう言っていた。生き死に関してはリアリストな彼にしては珍しいことでよく覚えている。
死んでしまった自分では生きている私を愛せない。忘れられて他のものに愛される。それが彼にとって一番許せないことで譲れないことだった。愛するのは他の誰でもない自分だけでいい。レストさん。あなただけじゃない。その思いは私も同じだったんですよ?
「私だって、あなたさえいてくれれば それでよかった」
過去に戻ることはできない。あなたを独りで苦しめたことを今でも後悔している。
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